自分らは仕事上多くの建物を見ます。
どのような建物でも自然環境に勝てるものはないと自分は常々考えています。
建物耐久性にとって重要な要素とは、立地・素材・構造の3つがあげられると思います。
近年自然災害が多く発生しているように思われがちですが、自分はそもそもの量は変わっていないように感じています。
確かに地球温暖化の影響もあるかもしれませんが、まず一つには建物の立地が自然災害を回避できる場所に建っているかどうかは
検討の余地があるように感じています。
山をけずり川をせき止め、海を埋めた土地は自然の影響を受けることが考えられはしないでしょうか。
立地が建物に与える影響は計り知れないように思います。
次に素材です。
日本においても70年代の持家政策以後、住宅を建てることは経済活動の基幹部分となっています。
しかし聞いた話ですが、江戸時代ごろは3代~5代にかけて一軒家が建つ家柄は大変なお金持ちとされていたとか。
現在では一代に一軒の家となっています。
これは家が当時よりも安価で短期間で建つようになったからと言えます。
ただ安価で建つには加工がしやすくて量産しやすい素材が住宅建築に一般的に使用されるようになったからでもあるわけです。
反面、素材も気候風土の影響を大きく受けるため、はたして現在一般に流通している素材が日本の気候風土にあっているかどうかは
「建物を診る」立場の自分からすると、疑問の余地が残る最近です。
そして構造。
立地と同じように、地域地域の気候風土がそれぞれで違えば、やはりその地域にあった構造もあるように思います。
まさしく在来工法とその名が示すとおり日本の建築において、在来の工法というものは気候風土にあっているのではないでしょうか。
自分が見てきた建物の中で「新築以来一度も塗り替えをしていません」というお宅はすべて在来工法のお宅でした。
一見無駄に見えるような破風板や長い軒先、高く積む棟の瓦など、見栄えが豪華になる以上にそれぞれ意味のある機能があることを
自分もここ最近知るようになりました。また最近の建築で見受けられる箇所で在来工法では見ることのない箇所もありますが、
それにもちゃんとした理由があるように確信しております。
単なる意匠性やデザインだけでなく、気候風土に耐える構造というものも確かに存在すると考えています。
以上のことから何が言いたいのかというと、
塗装というものは、建物において確かに重要な機能をもっているものの、あくまでも表面のお化粧でしかないということです。
どんなに優れた塗装を施しても、素材も構造も変えることが出来ません。もちろん立地を移動することも不可能です。
その中でも自分らは出来る限りのこと行いますが、
今後住宅購入をご検討の皆様には、立地・素材・構造に対して熟慮に熟慮を重ねた上での購入をオススメいたします。
塗装についてはその後で構わないというのが自分の今の考えです。
ご参考になればと思います。