17歳でこの世界に入ってこの春で25年になります。高校時代なんて親父が経営者だったこともあって
なぁ~にも知らず平々凡々と暮らしていたのに、いきなり漢たちの世界に飛び込んだものだから、怖くて怖くて仕方なかったんですよね。
特に当時は新築の大型店舗がメインだったので、朝の朝礼で腕っ節の強そうな職人や、ヤンキーあがりのアンちゃん達に紛れ込むのが
本当に苦痛でした。
なるべく誰とも目が合わないようにして、コソコソとラジオ体操をしてたんですよね。
朝礼が終わるとそれこそ戦争状態で、だいたい俺たちみたいな仕上げ工程の職種が現場に入る時期には
もう工期なんて1カ月近く遅れてるのです。
それを組(工務店)も仕上げ工程で挽回しようとするからもう滅茶苦茶な状態で。
素人が考えてもわかるけど、仕事なんて物理的に天井から壁、床へ仕上げていくのが普通なのに
床から仕上がってきたりするからもう大変。
それなのに俺たちが塗装するべき天井にボードがまだ貼ってなかったり・・・。
現場作業は複層的に進むから、我先に自分の作業を進めようとして
脚立の奪い合い!本式の電気がまだないから発電機から引っ張るコードリールの奪い合い!
現場に自社のコードリールを置いて帰ると翌日には盗まれてる
仕方ないので誰のかわからないコードリールを盗む先輩とかいるんです。
そんで「そりゃまずいでしょ?」とか言うと「アホか!現場で盗まれたものを現場で取り返しただけだろうが!」
みたいな無茶苦茶な理屈こねたりするし・・・。
とにかく他業者に舐められたらおしまいだから、みんなギラギラしてたんですぅ~。
だからかどうか知らんけど、建設作業員がニッパポッカなびかせてたりするのもなんか仕方ないかな~なんて思っているんです。
でもさ、すごいのはどんな無茶な工期でも結局間に合っちゃうんです。
たしか一度松江市内の生協病院の今の建物新築したときなんて、ボード屋が間に合わないから
茨城と北海道から職人呼んでなんとか間に合わせたのを見たことあんですよね~。
昼となく夜となく電気もない暗い建築現場でがむしゃらに働いてたけど、
あの何とも言えない高揚感大好きでした。
仕事終わって深夜車を走らせてると、街中で遊んでる若い奴みて
よくわからん優越感感じたこともあったんですよね。
あの経験、今の自分の基礎になってる。
あの頑張りが今の自分を支えてたりするんです。
「若い頃の苦労は買ってでもしろ」って言葉あるけど、
俺けっこうそれ支持してるんです。
歳重ねた時に踏ん張りが効くのは、若い時分の努力だったりするんですよね。